魔法の国へ

第4回
半年暮らす町 オッフェンブルグ編

万希子 凄く久しぶりのコラム!
スガちゃん …あのぉー。そのセリフ、よく聞いてる気がするンですけど?
万希子 やあぁ〜っと、ドイツに辿り着きました。
スガちゃん 待て待てーぃ。無視かい!?(笑)
万希子 ははは。笑い事じゃなく、マイペースは申し訳なく思ってます。はい。
でも、のんびりゆっくりやらせて貰おうかと。気ままなコラムに気長にお付き合い下さい。で、今回は初めての海外暮らし、研修で滞在したドイツのオッフェンブルグの話。
スガちゃん おぉー★ 半年も滞在していたという事は…ドジ話も山盛り?
万希子 ドジ話? ある訳ないやん。ちょっと道に迷ったり、泊まるところなくて夜中にさまよったり、その程度。
それはオッフェンブルグでの出来事ではないし、ここでは大人しく生活してたよ。
スガちゃん …やっぱりあるんやん。泊まるところなくて…って、普通は海外でやる事じゃないよなぁ。
ほんじゃまぁ…じっくり聞かせていただきましょー。(笑)
万希子 今日はオッフェンブルグの話やから、ハプニング話はまた今度。
スガちゃん …ぅーむ。そっちの方が興味があるけど。でもまぁ、やっと辿り着いたというオッフェンブルグの話を聞こうかな。
万希子 はい。そうしよう。(にっこり)
スガちゃん ドイツって、フランクフルトとかベルリン、ミュンヘン…なんていう名前は耳にするけど、オッフェンブルグってそんなに有名じゃないよなぁ?
万希子 うん。私も研修に出てなかったら知らんかったと思う。ドイツ南部にシュヴァルツヴァルトの森(黒い森)という所があって、その近くにある小さな町。
スガちゃん ドイツって、小さい町が多いって言うてなかったっけ?
万希子 うん。ベルリンは行った事ないからどんな感じか判らんけど、フランクフルトやミュンヘンは日本の都会と比べるとかなり小規模。
どの町も主要な所は歩いて回れそうな感じで、自然と共存して生活してるから、「都会」っていうても、都会の感じがせえへんなぁ。オッフェンブルグは静かな住宅地っていう印象で、住みやすい町やった。
スガちゃん でも、写真見せて貰う限りでは、町中「芸術家がいっぱいいるー」みたいな感じでオブジェがいっぱいやし、住宅街っていうのとは違って見えるけど?
万希子 うん。町の中央通りには何故かそういうのが多くてテーマパークみたいに思える部分もあったけど、こじんまりしてる。賑やかな部分は商店街的な所だけかな。
スガちゃん 自然に囲まれた環境って感じ?
万希子 うーん。緑は多いし、車でちょっと行けば森の方に行けるけど、山の中とかではないよ。
町の中の自然と言えば、小さいけどのんびり出来る公園。そこの池に黒鳥がいたり木蓮の大木があったりして、ほっこり過ごせる場所で気持ちよかったぁ。

人間の大きさと比較すると良く分かる木蓮の大きさ

スガちゃん 公園に黒鳥? うわ、ほんまに黒い鳥や…なんで!? そこに住んでるん? 
万希子 うん。なんでか知らんけど、公園の池にいつもいてた。(笑)
不思議やけど、気持ちが和んで良かったなぁ。
スガちゃん その町のお菓子屋さんで研修してたんやんな?
万希子 うん。でも、お菓子屋というか、パン屋というか…。
ドイツでは両方やってる店が多くて、私が研修した「カフェ コッハス」もそのひとつで、パンで研修にする人もいれば、お菓子で研修にする人もいるくらい、両方出来る店。
カフェ コッハスの店内

スガちゃん 両方美味しいって事?
万希子 うん。お菓子も美味しいけど、どっちかというとパンの方が美味しいかな。充実度も凄いし。
ヨーロッパの人はパンを食べる文化やし、毎朝パンを買いに来る人で店はいっぱい。
種類も沢山あって、どれも美味しいねん。
スガちゃん ドイツのパンっていうと、「アルプスの少女ハイジ」の白パンを思い出すけど、白パンと固いパンがあるん?
万希子 懐かし〜っ。ハイジの白パン!
白パンって、柔らかいっていうイメージで、食パンのようなふんわり感を思い浮かべるやん?
でも、そういうパンは見かけへんかったなぁ。
スガちゃん え? 固いパンばっかりで白パンはないって事?
万希子 うーん…あるんかも知れんけど、コッハスでは固いパンが主流やったし、ドイツの人はそっちの方が好きで、あまり柔らかいものは食べないし、今考えても私達がイメージするような白パンはなかったなぁ。
スガちゃん じゃあ、子供とか歯の悪いお年寄りは大変やん?
万希子 その感覚も、日本人のものなんよねー。
ヨーロッパの人は元々固いものを食べる民族で、肉も霜降りより固い肉を好む。
日頃から固いものを噛む事を苦にしてないし、小さい子もお年寄りもしっかり噛んで食べてる。
スガちゃん なんか、小さい子に固いもの食べさせるのって、無理させてるイメージがあるけど、それも民族の違い?
万希子 そりゃ、離乳食の子には無理かと思うけど、普通にものを噛めるようになれば大人と同じように食べてるし、日本の子供だって食べられると思う。
後輩でパン屋さんやってる人がいて、「小さい子供向けに柔らかいパンを求めに来る親がいるけど、うちのチビも平気で食べるから差別する必要ないのに…」と言ってた。
要するに、慣れやと好みの問題、つまり文化の違いやと思う。
スガちゃん そうか…。日本の食事って割と柔らかい食べ物が多いもんな。
でも、ドイツ行ったらハイジの白パンもあると思ってたのに…。
万希子 でも、白パンなくても美味しいパンが山程あるよ!
スガちゃん うん! 知ってるっ。固いパン大好き〜。
固いパンにソーセージ挟んだヤツ、ウイーンで食べたけど美味しかったなー。
万希子 あぁ、この写真のやんな? ちょっとお腹空いた時は「M」のつく世界的ファストフード店にいくより絶対満足する
 
スガちゃん うわっ、写真みたらまた食べたくなってきたやんっ!
ところでお菓子はどんなんがあるん?
万希子 この地方の銘菓「シュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテ」は外せへんし、ヌストルテって言うナッツを使ったケーキや、ケーゼクーヘン(チーズケーキ)、オプストトルテ(フルーツたっぷりのケーキ)…挙げるとキリない。
 
シュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテ  数々のケーキは注文するとその場でカットしてくれる

スガちゃん 教室で講習してるケーキが多くない? 聞いた事ある名前が多い気がする。
万希子 そりゃあ、ルーツはこの店にあるもん。
シュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテはフランス菓子で「フォレ・ノワール」っていう名前に変わって作られてるし、結構有名なお菓子なんやけど…。
スガちゃん そーなんや。でもはじめは聞き覚えなかったし、ドイツ語で聞くとなかなか覚えにくい名前が多い。
ドイツ菓子って何? って思ったし。
万希子 私も! 就職した時「ドイツ菓子班」っていうドイツ菓子を専門にする職員チームに配属されて、「ドイツ菓子って何?」「フランス菓子やりたい〜っ」って思ってた。
それまで、バウムクーヘンがドイツ菓子って事も知らんかった。
スガちゃん あぁ、自分もそうや! バウムクーヘン=ドイツ菓子っていうのは頭になかったなぁ。
でもそんなに嫌やったのに、何で今ドイツ菓子やってんの?
万希子 「どうしても嫌なら、3ヶ月後配置換えも考慮する」という上司の言葉を励みに「3ヶ月の我慢!」って、自分に言い聞かせて頑張ってん。
でも、1ヶ月もせんうちにドイツ菓子に夢中になってた。(笑)
スガちゃん へぇー。そうやったんやぁ…人生判らんよなぁ。
万希子 うん。「お菓子は華やかなフランス菓子が一番キレイで美味しい」とか思ってたけど、シンプルなお菓子の良さ、焼き菓子の奥の深さ、美味しさを知ったら、のめり込んでた。
スガちゃん そうなんやぁ…教室のお菓子、美味しいもんなぁ。
実は最近、外で「美味しい」と思う事が減ってきて困ってるくらいやし。(苦笑)
万希子 まあぁ、有り難い言葉! でも、何も出ぇへんで〜。
スガちゃん ちぇっ。こんだけ食べ物の話に付き合ってるねんから、美味しいもの食べさせてくれてもいいやん!(笑)
万希子 教室で持ち帰り不可能なお菓子が残ったら、少しは食べて良いよ。
スガちゃん わーい♪ …って、教室の生徒さん、みんな素晴らしい食べっぷりで殆ど残らへんやん…。
万希子 そうやなぁ。アシスタント業に感謝して、たまには自分たち用のお菓子も作るか?
スガちゃん うん。(にっこり)…って! 「自分用」が最優先な言葉な気が…。
まぁ…美味しいもの食べられるなら良いとするか。
美味しいコーヒー煎れるから、美味しいお菓子食べさせてな★
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